欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2022/4/4

EU情報

3月のユーロ圏インフレ率は7.5%、5カ月連続で過去最高更新

この記事の要約

EU統計局ユーロスタットが1日に発表したユーロ圏の3月のインフレ率(速報値)は前年同月比7.5%だった。ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー高が加速し、前月の5.9%を大きく上回り、5カ月連続で過去最高を更新した。(表参照 […]

EU統計局ユーロスタットが1日に発表したユーロ圏の3月のインフレ率(速報値)は前年同月比7.5%だった。ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー高が加速し、前月の5.9%を大きく上回り、5カ月連続で過去最高を更新した。(表参照)

エネルギーの上昇率は44.7%で、前月の32.0%から急拡大した。値上がりはウクライナ侵攻の影響で食品など広範囲に及んでおり、工業製品は3.4%、サービスは2.7%と、それぞれ前月を0.3ポイント、0.2ポイントの幅で上回った。

欧州中央銀行(ECB)が金融政策で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は3.0%で、前月の2.7から0.3ポイント拡大した。

主要国はスペインが9.8%、ドイツが7.6%、イタリアが7.0%、フランスが5.1%となっている。いずれも前月を大幅に上回った。オランダとバルト3国では10%を超えた。

ユーロ圏ではエネルギー価格の高騰、サプライチェーンの混乱による半導体など生産資材の値上がりの影響で物価が急激に上昇し、インフレ率がECB目標の2.0%を大きく上回る状況が続いている。ロシアのウクライナ侵攻でインフレ圧力が一層強まっており、ECBは金融引き締めを視野に置かざるを得ない状況だ。

一方、コロナ禍からの回復が進む景気回復が、ウクライナ危機で後退するのは必至とみられる中での引き締めは避けたいところで、ECBは難しいかじ取りを迫られる。