米が対英鉄鋼・アルミ関税を一部免除へ、EU・日に続き「関税割当」で決着

米英両政府は22日、米国が英国から輸入する鉄鋼とアルミニウムに科してきた追加関税を一部免除することで合意したと発表した。英国はオートバイやウイスキーなど米国製品への報復制裁を撤廃する。米国はEUや日本ともほぼ同様の内容で合意済み。トランプ前政権下で激化した貿易摩擦を収束させ、同盟関係にある国・地域との関係強化を図る。

米国は2018年3月、鉄鋼とアルミニウム製品の輸入増が国家安全保障上の脅威になっていると主張し、米通商拡大法232条に基づきそれぞれ25%、10%の追加関税を発動。英国は対抗措置として米国製品に報復関税を課した。

両国の合意内容によると、米国は6月1日から一定数量まで関税を免除する「関税割当」を導入する。無関税枠は鉄鋼が年間50万トン、アルミは2万1,600トン。

鉄鋼に関しては、原則として英国で溶解・注湯された鋼材が対象となる。中国企業が保有する鉄鋼会社は、中国政府の影響力を評価するため財務記録の監査が義務付けられ、結果は米側と共有される。具体的には2019年に経営破綻し、20年に中国の鉄鋼メーカー、敬業集団に買収されたブリティッシュ・スチールに同ルールが適用される。

ジョンソン英首相は今回の合意について「わが国の鉄鋼・アルミ産業を後押しする素晴らしいニュースだ」とコメント。レモンド米商務長官は「英国から鉄鋼とアルミニウムの輸入が拡大し、米国内の需給ギャップが緩和される。また、報復関税の撤廃で英国市場が再び米国製品に開放される」と強調した。

上部へスクロール