欧州委がハンガリーへの予算配分停止手続きに着手、法の支配巡り

欧州委員会のフォンデアライエン委員長は5日、「法の支配」の原則に違反したEU加盟国にEU予算の配分を停止するルールをハンガリーに適用する手続きを開始したことを明らかにした。同制裁措置の発動は初となる。

欧州委はハンガリーでの法の支配をめぐり、汚職が広がっているほか、言論の自由、性的マイノリティの権利保護などにも問題があるとして改善を求めてきた。先の議会選挙で与党が圧勝し、同問題でEUと対立するオルバン首相の続投が決まったタイミングで、予算配分停止の手続きに着手することを決め、フォンデアライエン委員長が同日、欧州議会の本会議で明らかにした。近くハンガリー政府に正式に通知する。

法の支配の順守を予算配分の条件とする規定は、新型コロナウイルスで打撃を受けた経済の再建を目指す総額7,500億ユーロ規模の復興基金の創設と、2021~27年の中期予算計画に関する協議の中で決まった。

主な標的となるハンガリーとポーランドが反対したが、◇資金配分と法の支配を結び付ける仕組みは特定の加盟国を標的とするものではなく、EUの資金が適切に活用されるためのセーフガードとして導入する◇ポーランドとハンガリーは同システムがEU基本条約に抵触していないかどうかの判断を欧州司法裁判所に求めることができ、裁定が下るまで資金配分は停止しない――といった妥協案がまとまり、2020年12月のEU首脳会議で採択された。発動されれば、EU予算だけでなく復興基金の資金配分も停止となる。

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