米との金融サービス規制、欧州委が追加緩和

欧州委員会は4日、デリバティブ(金融派生商品)を扱う米国の多くの取引所をEU域内の顧客が利用できるようにすると発表した。米証券取引委員会(SEC)の監督下にあれば、EUと同等の関連規制が適用されているとみなし、域内の銀行など顧客によるアクセスを認める。米国との金融サービスでは、デリバティブの中央清算機関(CCP)へのアクセスに次ぐ規制緩和となる。

EUは2021年1月、SECがCCPに適用している規制がEUの規制と同等と認定。SECの監督下にあるCCPがEU域内で登録し、決済業務を展開できることが決まった。これに続き、SECの監督下にある取引所でのデリバティブ取引についても、EUの顧客が自由にアクセスできるようになる。

CCPをめぐっては、すでに多くの機関がEUでの登録を申請しており、EUの金融規制当局である欧州証券市場監督機構(ESMA)が審査を行っている段階だ。欧州委は同日、CCP規制を追加緩和し、不動産担保証券(MBS)などの決済業務も行えるようにすると発表した。

EUでは英国の離脱に伴い、域内の金融サービス市場から英事業者を締め出す動きが加速している。ユーロ建てデリバティブ取引の決済ではロンドン証券取引所(LSE)グループのLCH中央清算機関として圧倒的なシェアを握ってきたが、欧州委はデリバティブ決済で英に過度に依存するのはリスクがあるとして、同取引の清算を域内の機関に一元化することを決定。2025年7月から域内の顧客が英の清算機関を利用できなくなる。こうした動きとは対照的に、金融サービスでの米との結びつきが強まりつつある。

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