Ifo経済研究所が25日発表した4月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は91.8となり、前月を1.0ポイント上回った。今後6カ月の見通しを示す期待指数が上昇したことが大きい。クレメンス・フュスト所長は「ロシアの侵攻の初期的なショックの後、ドイツ経済は回復力を示している」と述べた。ただ、景況感の水準が極めて低いうえ、ウクライナ戦争と制裁合戦もエスカレートする懸念があることから、景気の低迷は今後も続く見通しだ。
期待指数は86.7となり、前月の84.9から1.8ポイント改善した。現状判断を示す指数も0.1ポイント増えて97.2となった。
景況感を部門別でみると、製造業は改善した。期待指数が大幅に好転したためで、現状判断は悪化した。化学業界は現状判断と期待指数がともに落ち込んだ。背景には、石油・天然ガス価格が高騰しているほか、ロシア産エネルギーの供給が止まると業界の生産活動が広い範囲で停止に追い込まれるという事情がある。
サービス業の景況感指数は大幅に改善した。現状判断と期待指数がともに上昇。物流業界は戦争勃発に伴う悪化から改善した。宿泊・飲食業界はコロナ規制の大幅緩和が追い風となっている。
流通業の景況感指数は一段と落ち込んだ。現状判断が悪化したためで、期待指数は低水準ながらもやや改善した。
建設業の景況感指数は2010年5月以来の低水準へと下落した。資材不足を受け期待指数が東西ドイツ統一後の最低を記録したことが特に響いた格好だ。現状判断も大きく悪化した。
製造業の輸出見通しも改善
一方、Ifo経済研究所が26日発表した4月の独製造業輸出期待指数(DI)は前月のマイナス2.3ポイントからプラス3.5ポイントへと5.8ポイント上昇した。前月はロシアのウクライナ侵攻(2月24日に開始)を受け、19.3ポイントも低下したが、4月はやや持ち直した格好だ。フュスト所長は「強い先行き不透明感と物流の問題にもかかわらず、輸出の景況感には安定の兆しが出てきた」との見方を示した。
Ifoは月例の企業景況感調査の一環としてメーカーおよそ2,300社に今後3カ月の輸出見通しを質問している。メーカーは「増える」「横ばい」「減る」のどれかを選んで回答。「増える」の回答比率から「減る」の回答比率を引いた数に季節調整を加味したものが輸出期待指数となる。
4月は電機と機械で「増える」が「減る」を上回った。両業界の輸出額は今後、増加する見通しだ。化学、ゴム・プラスチック加工、自動車、家具業界では輸出減を見込む企業が輸出増を見込む企業を上回っている。