工芸品なども地理的表示枠組みで保護、欧州委が規則案発表

欧州連合(EU)の欧州委員会は13日、特定の地域に固有の伝統的手法で生産された工芸品や工業製品の知的財産権を保護するための規則案を発表した。EUでは農産品・食品やワイン、蒸留酒を対象に、原産地に由来する高い品質や評価を備えた製品の名称を保護する地理的表示(GI)制度が確立されており、陶磁器やガラス製品、宝飾品などについても同様の枠組みで統一的に保護するのが狙い。閣僚理事会と欧州議会の承認を経て、2024年1月の新ルール導入を目指す。

工芸品や工業製品の知的財産権をめぐっては、EU加盟国を含む38カ国が世界知的所有権機関(WIPO)のジュネーブ協定に署名しているほか、EU内では16カ国が国内法に基づいて原産地と結びついた製品の名称を保護する制度を整備している。農産品などを対象とするGI保護制度の枠組みを工芸品や工業製品にも適用することで、EUレベルで模倣品対策を強化できるほか、登録された製品の認知度向上、技能保持者の確保、観光振興を通じた雇用創出などが期待される。

欧州委によると、ムラーノガラス(イタリア)、リモージュ磁器(フランス)、ゾーリンゲンの刃物類(ドイツ)、ドネガルツィード(アイルランド)、ボレスワヴィエツ陶器(ポーランド)など、域内で生産されている800以上の工芸品や工業製品が保護対象となる見通し。

規則案によると、GIと同等の保護を受けるには◇特定の地域や地方、国を原産としている◇製品の品質や特徴、評判といった特性が原産地に起因する◇製造工程のうち、少なくとも1つの工程が当該地域で行われている――ことが条件となる。認定を受けた製品は「~風」「~タイプ」といった表記による模倣品や、包装や広告における誤った(または誤解を招く)原産地情報などから保護される。

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