英金融行動監視機構(FCA)は20日、上場企業に人材の多様性確保を促す取り組みを強化するため、取締役の少なくとも40%を女性にすることなどを求める新規則を発表した。4月以降にスタートする新会計年度から上場企業への適用を開始する。
新規則によると、ロンドン証券取引所に上場するすべての企業は、取締役会における女性の比率を4割以上とするほか、会長や最高経営責任者(CEO)、最高財務責任者(CFO)、最高執行責任者(COO)などの上級職についても、少なくとも1人は女性にしなければならない。さらに取締役のうち、少なくとも1人を非白人の人種的マイノリティとする必要がある。
罰則規定は設けないものの、「コンプライ・オア・エクスプレイン(遵守せよ、さもなくば説明せよ)」と呼ばれるコーポレートガバナンスの手法を取り入れ、要件を満たせなかった場合は理由を説明するよう求める。また、経営における多様性確保の取り組みについて透明性を高めるため、年次報告書で取締役会や経営陣の人数構成を公表するよう義務付ける。
FCAは2021年7月に新たなルール案を発表し、意見募集で寄せられた市場関係者などからの反応を踏まえて最終決定した。FCAのサラ・プリチャード市場担当事務局長は「投資家の間で、投資先企業における経営陣の多様性への関心が高まっている。新ルールの導入で上場企業は説明責任を果たすようになり、多様性の確保に向けた取り組みが一段と進展するだろう」と述べた。
英政府が2月にまとめた調査報告書によると、FTSE 100 (ロンドン証券取引所に上場する時価総額上位100銘柄)企業では、取締役会に占める女性の割合が2021年末時点で39.1%となっている。