ドイツ政府は5日、浮体式LNG貯蔵・再ガス化設備(FSRU)4隻の傭船契約を締結した。ロシア産天然ガスへの依存からの早期脱却に向けた措置で、欧州海運大手ホーグとダイナガスからそれぞれ2隻をチャーター。運営は独エネルギー大手RWEとユニパーに委託する。政府は費用29億7,000万ユーロを負担する。
ホーグから借り受けるFSRUはニーダーザクセン州のヴィルヘルムスハーフェン港と、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州のブルンスビュッテル港に投入される。稼働開始時期はそれぞれ今年末、来年初頭を計画している。
ダイナガスから借り受けるFSRUの投入地は未定。独北部のシュターデ、ロストック、ハンブルク・モーアブルク地区と、オランダのエームスハーヴェンが候補地となっている。
ドイツの天然ガス消費量は年950億立方メートルに上り、その大半を輸入で賄っている。昨年は輸入の55%をロシアから調達。現在は同割合が35%まで低下したものの、ロシア依存からの全面脱却には数年を要する見通しだ。
今回の傭船契約で確保したFSRUの再ガス化能力は最も少ないもので年50億立方メートル。ヴィルヘルムスハーフェンに投入するものは約100億立方メートルに上ることから、国内需要の10%弱を賄える計算だ。
FSRUで再ガス化した天然ガスはパイプラインで輸送する。ヴィルヘルムスハーフェン港のプロジェクトでは既存のパイプラインが走るエッツェルと同港の結ぶ約30キロメートルのパイプラインを新設する計画。天然ガスパイプライン運営のオープン・グリッド・ヨーロッパ(OGE)が敷設を引き受ける。