約50年来の高インフレに、エネルギーと食品が強く押し上げ

ドイツ連邦統計局が14日発表した5月の消費者物価指数(確定値)は前年同月比7.9%増となり、インフレ率は東西ドイツ統一後の最高を3カ月連続で更新した。サプライチェーンのひっ迫で物価が高騰していたところに、ロシアのウクライナ侵攻が追い打ちをかけた格好だ。統計局のゲオルク・ティーレ局長は、インフレ率は第1次石油ショックの渦中にあった1973~74年冬以来、およそ50年ぶりの高水準だと述べた。

エネルギーの上昇率は38.3%となり、前月の35.3%から一段と拡大した。灯油が94.8%、天然ガスが55.2%、自動車燃料が41.0%、電力が21.5%を記録。エネルギーを除いたインフレ率は4.5%だった。

食料品は11.1%に上った。ひまわり油の主要産地であるウクライナが戦場となったことから、食用油脂の価格は38.7%上昇。食肉・肉製品は同16.5%、乳製品・卵は13.1%、パン・穀物製品は10.8%高くなった。エネルギーと食料品を除いた基礎インフレ率は3.8%。

食料品以外の物品で上げ幅が特に大きかったのは自動車と情報処理機器で、それぞれ9.1%、8.0%に上った。家具・照明も7.4%と大幅に上がっている。

サービスは2.9%の上昇だった。上げ幅は住宅修理で12.1%、自動車修理で6.1%と大きい。電気通信は0.9%低下した。

前月比のインフレ率は0.9%に上った。エネルギーが2.8%、食料品が2.1%上昇。食用油脂の上げ幅は9.9%、食肉・肉製品は同4.4%、乳製品は4.2%だった。野菜は4.7%低下した。下げ幅はトマト(-25.5%)、キュウリ(-19.0%)で特に大きかった。

欧州連合(EU)基準のインフレ率は前年同月比が8.7%、前月比が1.1%だった。

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