英ジョンソン首相が辞任表明、前財務相らが党首選出馬表明

英国のジョンソン首相が7日、辞任の意向を表明した。与党・保守党の新たな党首が決まるまで首相の職務を続ける方針を示している。ジョンソン氏の後任を選ぶ党首選の日程は週内に示される見通し。これまでにスナク前財務相やブレイバーマン法務長官などが立候補を表明しており、政権移行が円滑に進むかに注目が集まっている。

ジョンソン氏をめぐっては、新型コロナウイルス禍で厳しい規制が続く中、首相官邸などでくり返しパーティーが開かれていた問題で、昨年以降、支持率が急降下した。6月上旬に行われたジョンソン氏に対する不信任投票では信任多数で続投が決まったものの、その後、2つの選挙区で行われた補欠選挙で保守党は敗北。7月上旬には与党幹部が性的スキャンダルで辞任し、二転三転するジョンソン氏の対応をめぐって批判が高まっていた。

こうしたなかで5日にはジャビド保健相とスナク財務相が相次いで辞任を表明。さらに副大臣を含む複数の閣僚や40人を超える政府高官の辞任が相次ぎ、ジョンソン氏に対する辞任圧力が強まっていた。

ジョンソン氏は記者団に対し、「党の新しいリーダー、新しい首相が必要だ。新リーダーを選出するプロセスを始めるべきだとの意見に同意した」と述べた。党首選に3人以上が立候補した場合、議員による投票で最終的に2人に絞り、全国の党員による投票で党首を決める仕組み。7月下旬から夏季休暇に入るため、新党首の就任は9月以降になる公算が大きく、それまではジョン氏が首相にとどまる見通しだ。ただ、早期の辞任を求める声もあり、党首選の日程調整が注目される。

ジョンソン氏は19年7月、EU離脱をめぐる混乱で辞任したメイ前首相の後任として就任。同年12月の総選挙で保守党を圧勝に導き、20年1月末にEU離脱を実現した。ロシアがウクライナに軍事侵攻した2月以降は、対ロ強硬派の急先鋒としてプーチン政権を強く非難する一方、2度にわたりウクライナの首都キーウを訪問するなど、積極的なウクライナ支援で西側諸国を牽引してきた。

ジョンソン氏の後任候補としては、スナク氏とブレイバーマン氏のほか、トゥゲンドハット下院外交委員長も出馬の意向を表明している。さらにウォレス国防相やジャビド前保健相、ハント元外相なども出馬を検討しているとされる。

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