欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2022/7/18

EU情報

22年のユーロ圏成長率、欧州委が2.6%に下方修正

この記事の要約

欧州委員会は14日に発表した夏季経済予測で、ユーロ圏の2022年の域内総生産(GDP)実質伸び率を2.6%とし、前回(5月)の2.7%から0.1ポイント下方修正した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動制限が緩和され、経 […]

欧州委員会は14日に発表した夏季経済予測で、ユーロ圏の2022年の域内総生産(GDP)実質伸び率を2.6%とし、前回(5月)の2.7%から0.1ポイント下方修正した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動制限が緩和され、経済が再開しているものの、ロシアのウクライナ侵攻による物価急上昇が景気回復の重しとなるとみている。(表参照)

23年については、ウクライナ危機と物価上昇の影響が一層深刻化するとして、予想成長率を2.3%から1.4%に大幅下方修正した。

EU27カ国ベースの予想成長率は22年が2.7%で、前回から据え置かれた。23年は2.3%から1.5%に引き下げた。主要国の22年の予想成長率はドイツが1.4%、フランスが2.4%、イタリアが2.9%、スペインが4.0%。ドイツは0.2ポイント、フランスは0.7ポイントの下方修正となった。スペインは据え置き。イタリアは2.4%から0.5ポイント引き上げられた。

欧州委は米国の景気後退、中国のゼロコロナ政策による景気悪化なども欧州経済の不安材料としているが、最も懸念しているのは物価高。ユーロ圏の予想インフレ率を22年は7.6%、23年は4.0%とし、それぞれ前回の6.1%、2.7%から大幅に引き上げた。ロシアがEUの経済制裁に対抗し、ガス供給を停止すれば、物価上昇が加速し、景気をさらに圧迫すると警戒している。

今回の予測では、ユーロ圏のインフレ率は23年になっても欧州中央銀行(ECB)が目標値とする2%を大きく上回る水準だ。ECBはインフレ抑制のため、7月21日の理事会で0.25ポイントの利上げを実施すると予告しているが、インフレ率が予想を超えるペースで上昇していることから、0.5ポイントの利上げに踏み切るとの観測も浮上している。