ロシア下院は5日、国内に拠点を設ける義務に違反した外国のIT企業への罰則を強化する法案を承認した。IT企業管理を目指す政策の一環。政府は以前からネット上のコンテンツやデータの管理を強めてきたが、ウクライナ侵攻後、これらをめぐる対立が先鋭化している。
今回の罰則強化では、現地拠点を設けない企業に対して、最大で前年のロシア売上高の10%に相当する罰金を科せるようになる。違反が繰り返される場合は最高限度が20%となる。
これは、「違法コンテンツ」を削除しなかったとして処罰されたアルファベット(グーグル)やメタ(フェイスブック)と同じように巨額の罰金を科せられる可能性を意味する。
ロシアは昨年7月、国内の利用者数が1日50万人以上の外国のIT事業者に国内事務所開設を義務付ける法律を公布。違反すると、最悪の場合、アクセスが遮断されることになっている。
通信監視当局(ロスコムナゾール)は昨年11月、これに関連し、13社に対して同法が発効する年初までに国内拠点を設けるよう通告した。これら13社のうち、アップル、スポティファイ、楽天(バイバー)、ライクミーの4社は全面的に指示に従った。ただし、スポティファイはロシアの対ウクライナ侵攻を受けて3月に現地事務所を閉鎖し、ストリーミングサービスも停止している。
メタは、ロシアが3月、同社を「過激派組織」に認定してフェイスブックとインスタグラムへのアクセスを遮断したのに伴い、現地事務所設置命令の対象から外された(ただし、対話アプリのワッツアップ利用は禁止されていない)。
グーグル、ツイッター、バイトダンス(ティックトック)、ズームビデオ・コミュニケーションズはロシア拠点の開設には至っていないが、部分的に命令に従った。ディスコードと、ツイッチ(アマゾンの動画配信事業)、テレグラム(ロシア発対話アプリ)、ピンタレスト(画像共有サイト)、ウィキメディア財団(ウィキペディア)は何らの措置も実施していないという。