英イングランド銀行(中央銀行)は4日、政策金利を現行の年1.25%から1.75%に引き上げると発表した。利上げは2021年12月から6会合連続で、0.5%の上げ幅は1995年以来27年ぶり。これにより、政策金利は2008年終盤以来の高水準となった。秋以降の景気後退を見込む一方、インフレ圧力が一段と強まっていることから、金融引き締めを加速させる。
3日まで開いた金融政策委員会(MPC)で、委員9人のうち8人が0.5%の引き上げを支持。残る1人はこれまでと同様、0.25%の利上げを主張した。
ベイリー総裁は記者会見で「MPCはインフレ圧力がさらに持続する兆候に特に注意し、必要があれば強力に対応する」と強調。9月およびその後の会合では「あらゆる選択肢が議論の対象となる」と述べ、物価の動向次第で大幅な利上げを続ける可能性を示唆した。
ロシアのウクライナ侵攻を背景とするエネルギー価格の高騰などで、6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比9.4%の上昇と、40年ぶりの高水準となった。中銀はCPIの伸び率が10~12月期に13.3%に達するとの見通しを示した。予想インフレ率について前回6月の政策発表時には、向こう数カ月は9%を超える水準で推移し、「10月には11%をやや上回る」との見方を示していた。
中銀は一方、量的緩和策として買い入れた国債について、早ければ9月中旬の次回会合後にも売却を開始する方針を示した。国債の保有残高は20年春以降のコロナ危機対応で大幅に膨らみ、21年12月時点で8,750億ポンドに達した。今年に入り償還資金の再投資を停止したことで、現在は8,440億ポンドに減少している。売却の規模は四半期あたり100億ポンド程度となる見通しで、保有国債は満期償還と合わせて初年度に約800億ポンドの圧縮が見込まれる。
中銀は併せて発表した四半期ごとの金融政策報告書で、英経済が「10~12月期から景気後退に入り」、23年末までマイナス成長が続いて国内総生産(GDP)が2.1%減少するとの見通しを示した。