欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2022/8/22

EU情報

ギリシャ、EUの特別財政監視から脱却

この記事の要約

EUの欧州委員会は10日、ギリシャが財政監視に関する特別な枠組みから20日に脱却すると発表した。ギリシャはユーロ圏と国際通貨基金(IMF)から金融支援を受けて深刻な債務危機を乗り切った後も財政がEUの監視下に置かれてきた […]

EUの欧州委員会は10日、ギリシャが財政監視に関する特別な枠組みから20日に脱却すると発表した。ギリシャはユーロ圏と国際通貨基金(IMF)から金融支援を受けて深刻な債務危機を乗り切った後も財政がEUの監視下に置かれてきたが、財政改善などが進んだことから、特別監視が不要になったと判断した。

ギリシャは2009年10月、前政権による赤字隠しが発覚したのをきっかけに信用不安が発生。政府は国債の利回りが急上昇し、自力で資金を調達できない状況に陥ったため、10年4月にEUと国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請し、同年と12年に総額2,400億ユーロの支援を取り付けて財政健全化に取り組んだ。

その結果、14年には国債発行で資金を調達できる状態まで回復したが、15年に反緊縮を掲げるチプラス政権が発足し、金融支援継続が不透明となったことで状況が悪化したことから、2015年にEUが総額860億ユーロに上る第3次支援に実施を決定。これでようやく危機が沈静化し、18年8月に金融支援から脱却した。ただ、その後も財政健全化を持続するため、EUの特別監視下に置かれていた。

監視から外れることで、ギリシャ政府は財政、経済政策決定の自由度が高まる。スタイクラス財務相は「我が国の12年間に及ぶ苦難が終わろうとしている」と述べ、EUの決定を歓迎。今後は国債の投資適格級復帰を目指す意向を表明した。