ニコンは2日、金属アディティブマニュファクチャリング(AM)の有力企業である独SLMソリューションズ・グループを買収すると発表した。戦略事業と位置付けるデジタルマニュファクチャリングで将来性の高い金属AM事業を強化。同分野の主導的な企業となることを目指す。来年1~6月の買収手続き完了を見込む。
買収は増資の引き受け、および株式と転換社債の公開買い付けを通して行う。総額は6億2,200万ユーロ(8億4,000万円)。すでにSLMの大株主などから株式と転換社債を取得することで合意しており、増資の引き受けも含めると株式61.1%を確保している。公開買い付け終了後はSLMを非上場化する意向だ。
SLMは1996年の設立で、独北部のリューベックに本社を置く。金属AMの主流であるレーザー粉末床溶融結合(L-PBF)方式の製品を手がける。主力製品「NXG Ⅻ600」は造形スピードが世界最速の1,000センチメートル毎時に上る。自動車大手BMW、フォルクスワーゲン(VW)、ホンダ、航空宇宙大手エアバス、電機大手シーメンスなど世界の有力企業150社強に750台強の製品を納入した実績を持つ。2021年12月期の売上高は7,511万5,000ユーロ。純損益は2,037万5,000ユーロの赤字だった。従業員数は500人強。フランクフルト証券取引所で株式を公開している。
ニコンは指向性エネルギー堆積(DED)方式の金属AM製品を手がける。SLMの買収後は研究開発の協業、およびDED方式とL-PBF方式の組み合わせを通して、新たなソリューションを提供していく考えだ。