8月の生産者物価46%上昇、ダントツで過去最高の上げ幅に

ドイツ連邦統計局が20日発表した8月の生産者物価指数は前年同月比45.8%増となり、上げ幅は前月に記録した統計開始(1949年)後の最高を8.6ポイントも上回った。エネルギーの上昇率が前月の105.0%から139.0%へと拡大したことが大きい。エネルギーを除いた生産者物価の上昇率は14.0%だった。

エネルギーを最も強く押し上げたのは電力で、174.9%(前月125.4%)に達した。再販事業者向けは278.3%(215.9%)、特別契約顧客向けは195.6%(129.2%)だった。

天然ガスは209.4%(163.8%)を記録。発電所向けは269.1%(234.7%)、産業向けは264.9%(194.7%)、再販事業者向けは236.8%(186.6%)に達した。一般世帯向けでも83.8%に上っている。

石油製品は37.0%で、前月(41.8%)を下回った。灯油が104.0%(107.9%)、自動車燃料が27.3%(31.6%)となっている。

中間財は17.5%増と大きく上昇したものの、上げ幅はこれまでに引き続き縮小した。ピーク時の4月は26.0%に上っていた。

中間財全体を強く押し上げたのは金属で、19.9%(24.1%)を記録。銑鉄・鉄鋼・鉄合金は20.9%(29.6%)、非鉄金属は16.9%(16.2%)だった。金属以外では肥料・窒素化合物で108.8%(100.4%)、飼料で37.6%(38.0%)、穀物粉で46.4%(48.9%)と高い伸びを記録した。肥料の原料となるアンモニアは175.9%だった。

投資財は8.0%(7.4%)上昇した。構成比重の最も大きい機械が9.3%(9.7%)、二番目に大きい自動車・自動車部品が6.2%(5.9%)高くなった。上昇率は金属構造物で20.3%、タービンで19.8%、送風機で18.1%と特に大きかった。

耐久消費財は上げ幅が前月と同じ10.9%だった。家具は13.2%(13.6%)に上った。

非耐久消費財の上げ幅は前月の16.2%から16.9%に拡大した。食料品は22.3%(21.1%)で、バターは74.6%(75.2%)、コーヒーは32.5%(31.6%)、鳥肉以外の肉は27.5%(23.5%)に上った。

生産者物価指数は前月比でも7.9%増と大きく上昇し、2カ月連続で過去最高の上げ幅を更新した。各部門の上昇率はエネルギーが20.4%、非耐久消費財が0.8%、耐久消費財が0.6%、投資財が0.4%、中間財が0.1%。中間財は3カ月ぶりに上昇した。エネルギーを除いた物価上昇率は0.4%(0.4%)だった。

エネルギーの内訳をみると、天然ガスは24.6%、電力は20.4%の幅で上昇。石油製品は3.2%低下した。

大幅に上昇した生産者物価は今後、川下に転嫁されていく。転嫁が滞れば多くの企業が経営破たんし、雇用情勢が悪化。危機終了後の経済回復は難航することになる。

転嫁に伴いインフレ率(消費者物価ベース)が一段と上昇するのは確実で、エコノミストの間では今後、2ケタ台に達すると目されている。8月のインフレ率(前年同月比)はドイツ基準で7.9%、欧州連合(EU)基準で8.8%だった。

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