ドイツ政府とノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州政府、エネルギー大手RWEは4日、同社がNRW州西部で行っている褐炭発電事業を2030年で終了することを取り決めた。本来は38年に終了する計画だったが、独政府与党は昨年秋の政権協定で国内の石炭発電を30年までに全廃する目標を取り決めたことから、今回の合意に向けた交渉をRWEなどと行ってきた。
同国では石炭発電を38年までに全廃することが法律で定められており、RWEがNRW州西部の「ライン褐炭地区」で運営している発電所も同年が稼働最終年となっていた。今回これを8年前倒しすることで合意したことで、同地区で行っている褐炭の露天掘りも早期に終了。二酸化炭素(CO2)の排出量が計2億8,000万トン低減される見通しとなった。同地区では将来、褐炭発電の代わりに水素発電が行われる計画だ。
ドイツでは現在、ロシアのウクライナ進攻を受けエネルギー供給不足懸念が強まっていることから、国とNRW州、RWEは同地区にある褐炭発電所「ノイラートD」「ノイラートE」ブロックの稼働終了時期を従来計画の今年末から2024年3月末に延期することも取り決めた。必要があれば国は両ブロックの稼働期間をさらに1年、延長する。
褐炭は不純物を多く含む低品質の石炭。水分が多く重いうえ、乾燥すると粉塵爆発の恐れがあることから、採掘場の近くの発電所で利用される。ドイツは埋蔵量が多いため、長く利用されてきた経緯がある。