自動車大手の独BMWは9月28日、同社を中心とするコンソーシアムが水素を燃料とする内燃機関トラックの研究プロジェクトを実施すると発表した。水素トラックは補給時間、積載量、航続距離、投入の柔軟性などの面でメリットが大きいうえ、再生可能エネルギー電力で作るグリーン水素を用いれば炭素中立のゼロエミッション車となることから、電気自動車(BEV)トラックを補完する物流車両となる可能性があるとみている。
「水素燃焼機関トラック(HyCET)」という名のプロジェクトをエンジン大手ドイツ、物流大手DHLフライト、水素エンジンのスタートアップ企業KEYOU、トラック大手ボルボ・グループ、エネルギー大手トタルエナジーズと共同で実施する。期間は4年。プロジェクト費用は1,950万ユーロで、その大半を独デジタル・交通省の補助金で賄う。
使用するトラックは18トン車2台と40トン車2台。18トン車にはドイツが開発した7.8リットル水素エンジンを搭載する。40トン車はボルボの既存車両を改造して、ボルボとKEYOUが共同開発する水素エンジンを搭載する。
試験車両を運行するため、水素補給スタンドをアウトバーン「A9号線」沿いのライプチヒとニュルンベルクに設置する。トタルエナジーズはこの2カ所を含め、2030年までにドイツ、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、フランスの5カ国に計150カ所の水素スタンドを設置する意向だ。車両はDHLフライトが運用する。
試験で得られたデータや知見をもとに水素エンジンのメリットとデメリットが分析される。