EU加盟国は12日、新型コロナウイルス感染拡大で大打撃を受けた航空業界の支援策として実施している空港の発着枠に関する規制緩和を継続し、2023年3月25日まで実施することで合意した。10月末が期限だったが、ウクライナ情勢、物価高などで航空需要の先行きが不透明なことから延長を認めた。
EUでは航空各社が域内の空港で割り当てられた定期便の発着枠の利用率が80%を割り込むと、それを取り上げるルールがある。欧州委はEUを中心とする航空会社が新型コロナウイルスの感染拡大で旅客が急減し、発着枠を確保するために乗客がゼロでも運航して経営を一層圧迫する事態を避けるため、利用率が80%以下になっても発着枠を維持できるようにする特別措置の導入を20年3月に決め、現在は使用率の基準が64%に引き下げられている。
欧州では新型コロナ規制の緩和が進み、航空旅客が回復しているが、コロナ禍前の水準には戻っていない。さらに、新型コロナ感染再拡大といった不安要素があることから、加盟国は規制緩和措置の延期を決めた。ただし、発着枠利用率の基準は75%に引き上げる。