クレディ・スイスが再建策発表、40億フランの増資など

経営難に陥っているスイスの金融大手クレディ・スイス・グループは27日、大規模な再建計画を発表した。40億スイスフラン(約5,900億円)の増資を実施する一方、一部の事業を売却するなど体制をスリム化して経営改善を進める。

増資では新株を投資家に売却する。同日にはサウジアラビア最大手銀行のサウジ・ナショナル・バンク(SNB)は最大15億スイスフランを引き受け、株式の9.9%を握ると発表した。

事業再編では、証券化商品部門の大半を米投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメントとパシフィック・インベストメント・マネジメントに売却する。また、投資銀行部門を分離し、「CSファーストボストン」として事業を展開する。

このほか、従業員の約5%を削減するなどして、2025年までにコストを2兆5,000億スイスフラン圧縮する計画だ。

クレディ・スイスは米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントが債務不履行に陥り巨額の損失を被ったほか、企業間取引で生じる売掛債権を電子記録債権化して支払いを代行する「サプライチェーンファイナンス(SCF)」を手掛ける英グリーンシル・キャピタルの破綻でファンドの閉鎖に追い込まれるなど、不祥事が相次ぎ、業績が急速に悪化。20年2月に就任したトマス・ゴットシュタイン最高経営責任者(CEO)が7月末に退任し、資産運用部門を率いてきたウルリッヒ・ケルナー氏が新CEOに就任していた。

同日発表した22年7~9月期決算の最終損益は約40億スイスフランの赤字で、4四半期連続の赤字となった。

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