欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2022/11/7

EU情報

ユーロ圏の7~9月期GDPは0.2%増 、物価高などで景気失速

この記事の要約

EU統計局ユーロスタットが10月31日に発表した2022年7~9月期のユーロ圏の域内総生産(GDP、速報値)は実質ベースで前期比0.2%増だった。6四半期連続のプラス成長となったが、伸び率は前期の0.8%から大幅に縮小。 […]

EU統計局ユーロスタットが10月31日に発表した2022年7~9月期のユーロ圏の域内総生産(GDP、速報値)は実質ベースで前期比0.2%増だった。6四半期連続のプラス成長となったが、伸び率は前期の0.8%から大幅に縮小。ロシアのウクライナ侵攻に伴う物価高などが景気を圧迫しており、今後は景気後退入りするのが避けられない見通しだ。(表参照)

これまでに同期のGDP統計がまとまったのはEU11カ国。ユーロ圏の前年同期比の伸び率は2.1%で、前期の4.3%を大きく下回った。EUベースでは前期比0.2%増、前年同期比2.4%増となり、それぞれ前期の0.7%、4.3%から縮小した。

主要国ではドイツが前期比0.3%増で、伸び率は前期の0.1%から拡大した。このほか、フランス、スペインが0.2%増、イタリアが0.5%増となったものの、前期から鈍化した。

景気失速はウクライナ危機に伴うエネルギー価格の高騰による物価の急上昇、これを受けた欧州中央銀行(ECB)による金融引き締め、サプライチェーン混乱の継続が主因。特に物価高の影響は大きく、ベルギー、オーストリア、ラトビアはマイナス成長に転落した。

ユーロ圏ではインフレ率の上昇に歯止めがかかっていない(後続記事参照)。冬季にはエネルギー危機が経済に及ぼす影響が増幅するため、10~12月期はマイナス成長が予想される。ウクライナ危機がさらに長期化すれば、23年1~3月期もマイナス成長となり、景気後退入りする。