ドイツの天然ガス備蓄率は2023~24年冬季も法律で定められた高水準を達成できる見通しだ。22~23年冬のガス消費量がこれまでのところ極めて少なく、暖房シーズン終了後の今春時点の備蓄率が高い水準を維持すると見込まれることから、来シーズンに向けた備蓄の積み増しが行いやすくなる。天然ガスと水素の貯蔵事業者が加盟するドイツの業界団体エネルギー貯蔵イニシアチブ(INES)が10日、明らかにした。
この冬は12月中旬に寒波が到来したものの、それ以外は気温が高い。世帯と企業がガスを節約していることもあり、現時点の備蓄率は約91%とこの時期としては異例の高さを保っている。INESによると、気温が今後、平年並みの水準まで下がったとしても、3月末と4月末の備蓄率はともに65%と高い水準にとどまる。昨年は3月末が26%、4月末が35%だった。
こうした事情を踏まえ、ロシアから欧州にパイプラインで輸出される天然ガスが完全に途絶えるとともに、LNG(液化天然ガス)の輸入量が減少したとしても、23~24年暖房シーズンが始まる秋には備蓄率が100%に達し、法律で義務付けられた水準(11月1日時点で95%以上)を達成できるとみている。