電力市場改革に向け意見募集、欧州委が3月中に法案発表へ

欧州委員会は23日、EU電力市場の改革に向けた意見募集を開始した。急激な価格変動から消費者を保護し、安定供給を確保しながら、安価な再生可能エネルギー由来の電力利用を推進するのが市場改革の狙い。2月13日まで各方面からの意見を受け付け、欧州委はそれをもとに3月末までに法案をまとめる方針を示している。

欧州では2021年夏以降、エネルギー価格がかつてないほど高騰し、EU域内の企業や家計に深刻な打撃を与えた。昨年8月をピークに、その後は下落に転じたものの、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめとする国際情勢によって再びエネルギー価格が高騰する可能性もある。欧州委はこうした中で、エネルギー主権の確立と2050年までの気候中立化を実現するため、電力市場の抜本的な改革に取り組む方針を打ち出していた。

EU電力市場の問題点として、電力料金が実質的に天然ガス価格と連動しているため、再生可能エネルギー由来の電力は発電コストが比較的低いにもかかわらず、消費者はその恩恵を受けられていない点が挙げられる。今後はさらに再生可能エネルギーへの移行が本格化すると予想されることから、欧州委は電力価格とガス価格の切り離しを軸とする電力市場の構造改革を検討している。

今回の意見募集では◇電気料金が短期的な化石燃料の価格に依存する現行システムを改善し、再生可能エネルギーの普及を促進する◇電気の安定供給に向けて市場機能を向上させ、ガスに代わる選択肢を十分に活用する◇消費者保護を強化する◇市場の透明性、監視体制、一体性を向上させる――などが主な論点となる。

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