欧州委員会は24日、ミツバチなど花粉媒介生物を保護する取り組みの強化を提案した。多くの種が減少し、絶滅の危機に瀕していることを受けたもので、有機農業のさらなる促進などによって2030年までに減少から増加に逆転することを目指す。
EU域内では農産物の生産に欠かせない花粉媒介生物が、土地利用の変化、農薬を使った集約農業、汚染、侵略的外来種の流入、病原体、気候変動などの影響で減っている。このため、EUは2018年に保護策を導入した。それでも、減少に歯止めがかからず、ハチやチョウの10種に1種、ハナアブの3種に1種が絶滅の危機にさらされている状況だ。
域内では花粉媒介生物にとって有害な化学農薬の使用が、すでに厳しく制限されている。欧州委の提案では、同措置を一層強化し、農村だけでなく都市部での使用も減らす。農薬に対する監視を強化し、認可されていない場合は使用を禁止する。また、EU共通農業政策に基づく補助金について、有機農業を行う農家に優先的に交付することなども盛り込まれた。
このほか、ミツバチなどが欧州全域を移動し、餌や避難場所を確保できる生態的回廊「バズ・ライン」設定し、生息数の減少を食い止めることなども提案した。
この提案は加盟国と欧州議会の承認が必要。承認されれば、加盟国は30年までに花粉媒介生物の減少を逆転させるための具体的な方策をまとめることを求められる。