EUのリサイクル、主要5品目で「市場がうまく機能せず」

欧州環境庁(EEA)は1月26日公表したリサイクル原料(二次原料)に関する報告書で、欧州連合(EU)では主要8品目のうちリサイクル市場が十分に機能しているのはアルミニウム、紙、ガラスの3品目にとどまるとの分析結果を明らかにした。木材や繊維製品など残る5品目は標準化の遅れや新素材との競争などにより、リサイクル市場がシェアを伸ばせずにいると指摘している。

循環型経済への転換を実現し、新たに採掘する天然資源を最小化して環境への悪影響を回避するため、リサイクル原料の取引市場を改善することがEUにとって急務となっている。EEAはリサイクル原料の実態を把握し、問題点を明らかにするため、アルミニウム、紙・段ボール、ガラス、木材、プラスチック、繊維、建設・解体廃棄物、バイオ廃棄物の主要8品目について、リサイクル市場の機能を分析した。

報告書によると、EEAはアルミニウム、紙・段ボール、ガラスの3品目について、リサイクル市場が十分に機能していると評価。これらの市場では関係者に信頼できる情報が継続的に提供され、国際的にもオープンで、一次原料と比較して大きな市場シェアを獲得していると分析している。

これに対し、木材やプラスチック、繊維製品など5品目ではリサイクル市場がうまく機能していない。これらの品目は一次原料に比べて需要が小さく、標準化された仕様がないため、工業用リサイクル原料の品質が低く、新素材との競争でも不利な立場に置かれている。

EEAは市場の動向を適切に監視・評価するため、より多くの情報が必要との認識を示したうえで、リサイクル原料の市場障壁を克服するために検討すべき対策案として、リサイクルしやすい製品設計へのインセンティブ、リサイクル目標の強化、新製品におけるリサイクル材の含有量の引き上げ、一次原料との価格競争で不利にならないための税制上の措置などを挙げている。

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