23年のユーロ圏成長率、0.9%に上方修正=欧州委

欧州委員会は13日に発表した冬季経済予測で、ユーロ圏の2023年の域内総生産(GDP)実質伸び率を0.9%とし、前回(22年11月)の0.3%から大幅に上方修正した。天然ガス価格の低下などを反映したもので、景気後退入りは回避できると見込んでいる。(表参照)

24年の予想成長率は前回と同じ1.5%。EU27カ国ベースでは23年が0.8%で、0.5ポイントの上方修正となった。24年は前回と同水準の1.6%。

欧州委は前回の経済予測で、ロシアのウクライナ侵攻長期化によるエネルギー価格の高騰、物価高などが景気を圧迫し、22年10~12月期から2期連続でマイナス成長となり、景気後退入りすると予想していた。

しかし、暖冬の影響によるエネルギー消費の減少、天然ガスの脱ロシア依存が進んだことによるガス価格の低下、財政措置による家計の光熱費負担軽減で個人消費が予想より好調だったことで、10~12月期は前期比0.1%のプラス成長を確保。中国がゼロコロナ政策から転換し、外需が持ち直すと予想されていることなどもあって、大幅に上方修正した。

ユーロ圏のインフレ率についても、昨年10月にピークに達し、その後は鈍化していることから、23年は5.6%とし、前回の6.1%から引き下げた。24年は2.5%まで縮小すると見込んでいる。

主要国の23年の予想成長率はドイツが0.2%、フランスが0.6%、イタリアが0.8%、スペインが1.4%。ドイツは前回、マイナス0.6%と予想されていたが、プラスに修正した。フランスは0.2ポイント、イタリアは0.5ポイント、スペインは0.4ポイントの幅で引き上げられた。

ただ、欧州委は今回の予測をウクライナでの戦闘が続くものの、激化はしないという前提でまとめており、ウクライナ情勢次第で再び物価が急上昇し、景気に悪影響を及ぼす可能性があるとしている。

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