1月のユーロ圏インフレ率、8.6%に上方修正

EU統計局ユーロスタットが23日に発表した1月の消費者物価統計によると、ユーロ圏のインフレ率(確定値)は前年同月比8.6%となり、前月の9.2%から0.6ポイント縮小した。インフレ率の鈍化は3カ月連続。ただ、速報値の8.5%から0.1ポイント上方修正された。(表参照)

速報値ではユーロ圏最大の経済国であるドイツのデータが盛り込まれていなかったため、修正が必至と目されていた。

分野別の上げ幅はエネルギーが18.9%で、前月の25.5%を大きく下回った。暖冬でエネルギー需要が下がったことや、各国がロシアのウクライナ侵攻を受けてエネルギー調達源の多様化に取り組んでいることで、10月の41.5%をピークに縮小が進んでいる。

一方、工業製品は6.7%で、前月から0.3ポイント拡大。サービスも4.4%と高止まりしている。

EU27カ国ベースのインフレ率は、前月を0.4ポイント下回る10.0%だった。主要国はイタリアが10.7%で最高。ドイツが9.2%、フランスが7.0%、スペインが5.9%となっている。

物価高騰はピークを過ぎたとみられている。しかし、欧州中央銀行(ECB)が金融政策決定で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は5.3%となり、前月の5.2%を上回った。

ECBは物価高対策として22年7月から金融引き締めに転換。2月まで6回の利上げを実施した。主要政策金利の上げ幅は3.0%ポイントに上る。インフレ率は鈍化傾向が続いているものの、エネルギー以外でも上昇圧力は強い。このため、ECBは2月2日に金利の0.5ポイント引き上げを決めた際、3月にも同水準の利上げを行うことを言明していた。

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