欧州委員会は20日、仏通信大手オレンジがベルギー同業のVOOを買収する計画について、条件付きで承認したと発表した。オレンジは提示した競争上の是正措置を実行することを求められる。
オレンジは2021年12月、ベルギー子会社を通じてVOOの株式75%を取得することで合意したと発表した。オレンジは欧州全域で高速インターネット接続と携帯電話サービスを提供する戦略を進めており、ベルギー南部ワロン地方を中心に事業展開するVOOの買収もその一環。買収が実現すると、オレンジは同地方とブリュッセルの一部でVOOのケーブルネットワークを介した固定電話とインターネット接続サービスのほか、外部ネットワークを利用した携帯電話サービスを提供することになる。
欧州委は同買収について、VOOと同社のブランド名で固定電話サービスを提供するブルテル(Brutele)の固定通信網がカバーする地域では事業者数がこれまでの3社から2社に減り、固定通信と携帯電話の融合サービス(FMC)、固定回線によるインターネット接続、映像サービスなどの分野で競争が阻害される恐れがあると指摘して難色を示し、22年7月にEU競争法に基づく本格調査を開始していた。
これに対してオレンジは、米リバティ・グローバルのベルギー子会社テレネットが少なくとも10年間にわたり、問題となっているカバー地域でのVOO、ブルテルの固定回線網を利用できることや、今後数年間で整備するFTTP(光ファイバケーブルをユーザーの敷地まで直接敷設することで実現する高速通信サービス)ネットワークにアクセスできるようにすることを提案。欧州委は同措置によって競争上の問題が解消されるとして、その実施を条件に買収を承認した。