インフレ率が大幅低下、ベース効果などで3月は7.4%に

ドイツ連邦統計局が3月30日発表した同月の消費者物価指数は前年同月比7.4%増(速報値)となり、上げ幅は昨年8月(7.0%)以来の水準まで低下した。今年1月と2月は8.7%に達しており、縮小幅は1.3ポイントに上る。比較対象の2022年3月はロシアのウクライナ進攻直後で物価が急上昇しており、今年3月はそのベース効果でインフレ率が大きく低下した。世帯や企業を支援するため天然ガスや電力に上限価格が設定されたこともプラスに働いた。

エネルギー価格の上げ幅は前月の19.1%から3.5%へと縮小した。22年3月は同上昇率が39.5%に達していたことから、今年3月は大幅上昇の余地がなかった。州によってはエネルギー価格が下落している。

食料品は前年同月比22.3%増となり、上げ幅は前月(21.8%)を一段と上回った。エネルギー価格の高騰に起因する物価の上昇が他の製品分野に時間差で波及しているという事情がある。野菜は欧州の主要生産国の一部で不作だったこともあり、特に大きく上昇したもようだ。

サービス価格の上げ幅も前月の4.7%から4.8%へと拡大した。特に旅行分野で上昇率が大きい。コロナ規制の解除を背景に需要が急増しているためで、最大州のノルトライン・ヴェストファーレンではパック旅行料金が平均12.8%上がった。

エネルギーと食料品を除いたコアのインフレ率は上昇したもようだ。コメルツ銀行のチーフエコノミストは『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、0.2ポイント増の5.9%に拡大したとの試算を示した。ただ、輸入物価や生産者物価など川上の物価はピーク時に比べ上げ幅が大きく縮小していることから、今後は消費者物価レベルでも上昇率が徐々に低下していくと予想されている。同チーフエコノミストは、今年秋以降は5%以下に下がるとの見方を示した。賃上げ圧力が強いことから、大幅下落は見込めないとしている。

3月の消費者物価は前月比では0.8%上昇した。

欧州連合(EU)基準のインフレ率は前年同月比が7.8%、前月比が1.1%だった。

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