スウェーデンの燃料電池メーカー、パワーセル・スウェーデン (以下、パワーセル)はこのほど、海運業界にゼロエミッション・ソリューションを提供するノルウェーのSEAMと共に、ノルウェー北部の大型プロジェクト向けに船舶用燃料電池システムを供給する合意書を締結した。同国で最長距離のフェリー路線を運行する船舶2隻に燃料電池システムを供給する。受注規模は1,920万ユーロ。システムの最終納期は2024年第4四半期となっている。SEAMは、推進、制御、安全システムを供給する。
パワーセルは2023年2月、当該案件について基本合意したと発表していた。システムを供給するのは、ロフォーテン諸島のベストフィヨルドを運行するフェリー2隻(運行時間は最大4時間)で、フェリーは、輸送会社Torghatten Nordが供給する。各フェリーの容量は、乗員数599人、乗用車120台、トラック12台となっている。出力は2隻の合計で約13MWとなる予定。パワーセルは、最大定格出力200kWの船舶用燃料電池システム「Marine System 200」を供給する。Torghatten Nordとパワーセルは、長期間のサービス契約も締結する方針。
パワーセルのリチャード・バークリング最高経営責任者(CEO)は今回の受注に際し、「ノルウェーだけでも約800のフェリー路線があり、フェリーは我々が水素電気ソリューションの大きな需要が期待できるセグメントだ。2024年から海洋セクターは欧州連合(EU)の排出権取引システムの対象と成るため、ネットゼロ、水素駆動ソリューションへの需要が高まるだろう」と述べ、海洋向けの需要拡大に期待感を示している。