ポルシェが大規模電池工場を建設、候補地は欧州と北米

高級スポーツ車大手の独ポルシェは26日の決算発表記者会見で、大規模な車載電池セル工場の建設を計画していることを明らかにした。補助金、エネルギー価格、行政の対応や柔軟性などを踏まえて候補地を選定する意向で、ルッツ・メチュケ取締役(財務担当)は欧州、カナダ、米国を念頭に置いていると述べた。ドイツ本国については、エネルギー価格が高いことから大量の電力を必要とするセル生産で米国などに比べ不利だと明言した。

同社は2021年、フラウンホーファー研究所からのスピンオフであるカスタムセルズと共同で車載電池製造の合弁会社セルフォースを設立した。24年から高性能電池セルの生産を西南ドイツのマーデン工場で開始し、モータースポーツとハイパフォーマンス車に搭載する計画。年産能力は約1,000台分に相当する100メガワット時(MWh)にとどまる。昨年秋には10倍の1ギガワット時(GWh)に拡大する意向を表明したが、生産能力の拡張をいつまでに行うかや、どのような種類の車両に搭載するかは伏せている。同社は今回、セルフォースを5月に完全子会社化したことも明らかにした。

新たなセル工場は年産能力を10~20GWhとする意向だ。最大20万台分に相当する。

同社の販売台数は昨年およそ31万台で、電気自動車(BEV)はそのうち3万5,000台にとどまった。ただ、30年までには車両の80%以上をBEVとする計画のため、セル生産を大幅に増やす必要がある。

親会社フォルクスワーゲン(VW)も電池子会社パワーコを通してセルを生産する。メシュケ氏はこれに絡んで、シナジー効果が見込めるとしてパワーコとの協業を継続する意向を示した。

新電池工場の投資額は20億~30億ユーロに達すると見込んでいる。ポルシェが単独で負担するには額が大きすぎるため、共同出資者を模索する意向だ。

23年6月中間期の売上高は204億3,000万ユーロとなり、前年同期を14.0%上回った。営業利益は10.7%増の38億5,000万ユーロで、売上高営業利益率は前年同期の19.4%から18.9%へと低下した。

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