スイスのクラリアント、ルーマニアのバイオエタノール工場を閉鎖

スイスの特殊化学大手クラリアントは6日、ルーマニアのバイオエタノール工場を
閉鎖し、ドイツの関連事業も縮小すると発表した。計画通りの収益化に至らなかっ
たことが理由。ルーマニアで120人、ドイツのバイオ燃料・誘導品事業で50人を削
減する。バイオ燃料事業自体は有望視しており、今後も技術と、既存契約の履行に
必要な機能を維持する。
クラリアントは2021年10月、ルーマニア南部クラヨバ近郊のポダリ区にセルロース
系エタノール工場を建設。農業廃棄物からバイオ燃料を製造する独自技術「サンリ
キッド(Sunliquid)」を導入し、翌年6月からバイオエタノールの生産を開始し
た。
当初の計画では、現地で収穫される麦わらなどを最大25万トン処理し、年間5万ト
ンのバイオエタノールを生産するはずだったが、ボトルネックなど技術的な問題に
よりフル稼働に至らず、損失が膨らんでいた。同社のビル・コリンズ最高財務責任
者(CFO)によると、ポダリ工場の損失は22年7-9月期(第3四半期)以降で7,700万
スイスフラン(8,806万米ドル)に上る。
同社は今回の決定に伴い、リストラ費用や引当金として約6,000万〜9,000万スイス
フランが発生すると予想。23年通期の営業利益(EBITDA)予想を従来の6億5,000万
〜7億スイスフランから5億7,000万〜6億スイスフランに下方修正した。

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