インフレ率2%未満に、3年5カ月ぶり

ドイツ連邦統計局が29日に発表した8月の消費者物価指数(速報値)は前年同月比
1.9%増となり、上げ幅は前月を0.4ポイント下回った。インフレ率が2%を下回るの
は2021年3月(1.8%)以来で、3年5カ月ぶり。
8月は物品が前月の0.9%増から横ばいへと大幅に低下した。エネルギーの下げ幅が1.
7%から5.1%に拡大したことが大きい。原油安や米中の景気懸念を背景に石油製品の
価格が低下。最大州のノルトライン・ヴェストファーレンではバカンスシーズンにも
かかわらず自動車燃料の下げ幅が7.1%に達した。
食料品は0.2ポイント増の1.5%となり、これまでに引き続き上昇した。エネルギーと
食料品を除いたコアのインフレ率は0.1ポイント減の2.8%だった。
サービスは過去3カ月と同じ3.9%と高止まりした。高インフレを受けて大幅に引き上
げられた賃金が料金にほぼそのまま転嫁されているという業界特有の事情が背景にあ
る。
前月比のインフレ率はマイナス0.1%で、前月を0.4ポイント下回った。
欧州連合(EU)基準のインフレ率は前年同月比が2.0%、前月比がマイナス0.2%。前
月はそれぞれ2.6%、0.5%だった。
エコノミストの間では前年同月比のインフレ率が今秋に再び上昇するとの見方が強
い。比較対象の23年は8月のインフレ率が6.1%に上ったのに対し、翌9月には4.3%へ
と大きく低下。その後も下落傾向が続いたためだ。今年9月以降はこのベース効果で
上げ幅が拡大する可能性が高い。

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