ルーマニア政府はこのほど、マイクロエレクトロニクス業界開発計画に沿い、ドイ
ツのロバート・ボッシュ、コンチネンタル・オートモーティブ及び、オランダの
NXPセミコンダクターズに総額1億9,000万ユーロの助成を実施することを決定し
た。車載用途に絞ることで、国内重要産業の一つである自動車業界を強化し、欧州
連合(EU)の自動車産業の競争力向上に貢献する狙い。助成金は国家復興・レジリ
エンス計画(PNRR)の予算から拠出する。
シュテファン・ラドゥ・オプリャ経済・起業・観光相は3企業との契約調印にあた
り、ルーマニアのITエンジニア数が人口比で欧州連合(EU)加盟国中トップ、世界
でも6位につけると指摘。そのうえで、今後は専門化が必要になるという立場を示
した。自動車産業は国内総生産(GDP)の13〜15%を占める重要産業の一つで、欧
州レベルでも競争力強化が求められており、戦略的重要性が高いという見方だ。今
回の助成で、デジタルトランジション(DX)とグリーンモビリティの促進を狙う。
3社の研究開発計画は、マイクロエレクトロニクス・通信技術分野における欧州共
通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)に位置付けられる。国内8大学(ブカ
レスト工科大学、クルジュナポカ工科大学、ティミショアラ工科大学、ヤシ・ギョ
ルギェ・アサキ工科大学、アルバユリア1918年12月1日大学、スチャバ・ステファ
ン・ツェル・マーレ大学、ブラショフ・トランシルバニア大学、バベシュ・ボヨイ
大学)も提携パートナーとしてプロジェクトに参加する。
コンチネンタルは、自動車向けスマート・トランスデューサの生産およびバリュー
チェーン構築でエネルギー効率向上を目指す。投資規模は12億1,100万レウ(約2億
4,300万ユーロ)で、PNRRから3億7,193万レウ(約7,470万ユーロ)の助成を受け
る。
ロバート・ボッシュは「ユーロドライブ」プロジェクトとして、高度自動運転シス
テムおよびグリーンモビリティ向けマイクロエレクトロニクスのバリューチェーン
構築を目指す。コンピュータ・ビジョン・ソリューションを備えた自動運転レベル
3のドメインコントローラ(AI深層学習アルゴリズム)を開発するとともに、電動
車向けスマートアクチュエータの生産・実装を進める。プロジェクト費用は17億6,
400万レウ(約3億5,500万ユーロ)で、このうち1億7,060万レウ(約3,430万ユー
ロ)を助成で賄う。
NXPは統合的システムオンチップ(SOC)「センシコム(Senthicom)」の研究開発
で支援を受ける。プロジェクトには◇20ナノメートル(nm)未満のマルチドメイ
ン・デジタルレーダー分野における画期的な製品の開発◇先端センサシステムの設
計・プロトタイプ製作・試験生産◇5nm車載プロセッサの開発◇5nmプロセッサのソ
フトウエア・プラットフォームの開発◇5G/6G通信向けアプリケーションのアルゴ
リズム、IPブロック、SOCソリューションの開発——が含まれる。総費用は15億
9,200万レウで(約3億2,000万ユーロ)、4億3,020万レウ(約8,650万ユーロ)の助
成を受給する。