欧州連合(EU)の排出基準が厳格化されるなか、温室効果ガスの排出抑制には、ガソリンエンジンからディーゼルエンジンへの移行がカギとなる――アメリカ化学会(ACS)が発行する科学雑誌『Environmental Science & Technology』にこのほど掲載された論文でこのような研究結果が明らかになった。
\論文は、自動車の排ガスには二酸化炭素(CO2)のように地球温暖化に長期的な影響をもたらす物質と、黒色炭素(ブラックカーボン)のように短期的な影響を与える物質があると指摘。長期的な温暖化対策としては、ガソリン車より走行距離1キロメートルあたりのCO2排出量が15%少ないディーゼル車の普及を後押しするような政策努力が必要だと提言する。英国ではCO2の排出量に比例した課税制度を導入したところ、新車登録に占めるディーゼル車の割合は2002年の26%から05年には38%に上昇した。
\論文は、気候モデルの中に炭素循環モデルを組み込むとともに、大気化学プロセスをパラメータ化してディーゼル車の普及を促進する政策の有効性を検証。その結果、長期的な温暖化効果はガソリン車と比べディーゼル車の方が小さいとの結論に達したとしている。
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