トヨタ自動車と独高級車メーカーのBMWグループは6月29日、昨年12月に締結した両社の戦略的な協力関係を強化すると発表した。
\トヨタの豊田彰男社長とBMWのノルベルト・ライトホーファー社長は、BMWの本社のあるミュンヘンで、「燃料電池(FC)システムの共同開発」「スポーツカーの共同開発」「電動化に関する協業」「軽量化技術の共同研究開発」の4分野について長期的に戦略的協業関係を構築することを目指す覚書(MoU)に調印。また、長期的な戦略的協業関係を築いていく意向を確認する共同声明にも調印した。
\トヨタはハイブリッドや燃料電池に関する環境技術を強みとする一方、BMWはスポーツカーの開発や炭素繊維複合材料を使用した軽量化技術を得意としている。
\豊田社長は協力関係の強化について、「『もっといいクルマをつくること』を両社とも信念としている。共通の価値観を持ち、相互に尊敬の念を抱いていることが協力関係の強化に発展した」と述べ、協力による今後の成果に期待感を示した。今回の合意には資本提携は含まれておらず、純粋な協力関係であることも強調した。
\共同声明についての詳細は明らかにしていないが、独日刊紙『フランクフルターアルゲマイネ』によると、BMWのグループブランドの高級感や独立性を保持することなどが盛り込まれたもよう。
\ \■ BMW、規模拡大でコスト負担を軽減
\ \BMWグループの生産台数は年約170万台にとどまり、量産車メーカーのフォルクスワーゲン(VW)を親会社に持つ競合の独アウディに比べると生産規模が小さい。年800万台以上を生産するトヨタとの提携により、技術面の協力だけでなく、開発や生産のコスト負担を軽減できる利点もある。競合のダイムラーもルノー・日産との提携を強化している。
\BMWは、欧州2位の販売規模を誇るPSAプジョー・シトロエンとハイブリッド技術で協力する方針で合弁会社も立ち上げたが、PSAとGMが今年2月末に資本関係も含む包括的な提携契約を締結したため、同分野の協力関係を解消するとの見方が強まっている。
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