欧州自動車産業情報、メーカーの動向、最新技術の情報を配信

2012/7/27

総合 – 自動車産業ニュース

欧州委が対日EPA交渉開始を提案、EU自動車業界は反発

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会は18日、EUと日本の経済連携協定(EPA)締結に向けた本交渉の開始を加盟国に提案すると発表した。加盟国は早ければ10月の首脳会議で提案を承認し、来年初めにも交渉が開始される見通し。しかし、域 […]

欧州連合(EU)の欧州委員会は18日、EUと日本の経済連携協定(EPA)締結に向けた本交渉の開始を加盟国に提案すると発表した。加盟国は早ければ10月の首脳会議で提案を承認し、来年初めにも交渉が開始される見通し。しかし、域内の自動車業界が日本とのEPAに強く反発しており、交渉は難航が予想される。

\

日本とEUは昨年5月の定期首脳会議で、EPA締結に向けた予備交渉を開始することで合意。同交渉は今年5月に完了し、本交渉開始を待つ段階にある。

\

欧州委の試算では、EUは日本とのEPA締結によって、対日輸出が32.7%増加し、域内総生産(GDP)が0.8%押し上げられ、42万人の雇用創出効果が見込める。しかし、昨年7月に発効した韓国とEUの自由貿易協定(FTA)による韓国車の輸入急増に悲鳴を上げている自動車業界では、日本市場の開放による輸出拡大効果より、日本車に対する10%の関税が撤廃されることによる輸入急増の打撃の方が大きいとして反発。欧州議会も6月、こうした声を受けて、本交渉の開始を当面は見送るよう加盟国に求める決議を採択していた。

\

こうした動きに対して、欧州委のデフフト委員(通商担当)は、急成長するアジアにあり、世界3位の経済国である日本市場を「見過ごすことは重大な過ちだ」として、交渉開始の提案に踏み切った。

\

\

■ 欧州自工会、交渉開始反対の声明

\

\

EU側は本交渉で日本に対して、工業製品の厳しい規格など非関税障壁の撤廃や、公共調達の開放などを強く求める構え。欧州委は、交渉開始から1年以内に自動車などの非関税障壁撤廃、鉄道・都市交通部門の公共調達開放に向けた進展がない場合は交渉を打ち切ると明言し、関連業界や加盟国に交渉開始への理解を求めている。

\

それでも自動車業界は、なお交渉開始に反対しており、欧州自動車工業会(ACEA)は19日、対日EPAの有益性に関して「疑問が残る」として交渉開始を控えるよう求める声明を発表した。

\

ACEAのイバン・ホダッチ事務局長は声明で、EUが日本車への関税を撤廃すると、日本からの輸入が激増して欧州メーカーの生産が約16万台減少する結果、多くの雇用が失われると指摘。EUから日本への輸出についても、非関税障壁撤廃が不透明であるほか、日本の自動車市場で35%を占める軽自動車は日本独特のもので、欧州メーカーが付け入る隙はなく、さらに日本の自動車市場は大きな成長が見込めないことから、EPAによる恩恵はないとしている。

\
企業情報 - 部品メーカー
COMPANY |
CATEGORY |
KEYWORDS |