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2012/9/28

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ダイムラー、新冷媒「R1234yf」の採用中止

この記事の要約

独自動車大手のダイムラーは25日、カーエアコンに使用する冷媒として今後も「HFC-134a(R134a)」を使用する方針を明らかにした。新たに採用が決まった冷媒「R1234yf」を使用した車両の安全テストを独自に実施した […]

独自動車大手のダイムラーは25日、カーエアコンに使用する冷媒として今後も「HFC-134a(R134a)」を使用する方針を明らかにした。新たに採用が決まった冷媒「R1234yf」を使用した車両の安全テストを独自に実施したところ、激しい正面衝突事故で同冷媒が燃える危険が確認されたためという。独業界紙『オートモビルボッヘ』によると、同社は現在、ドイツと欧州の当局に今後もR134aを使用できるよう許可を求めているという。

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ダイムラーは独自に開発した「リアルライフ」と呼ばれる安全性能試験を実施したところ、冷媒の回路に損傷があり、激しく正面衝突した場合、近くの排ガス装置の熱により冷媒が燃える恐れがあることが分かったという。試験結果は再現することができるとしている。また、試験結果は他の自動車メーカーや業界団体にも公開する意向を示している。

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欧州連合(EU)では2011年1月1日から域内で販売される乗用車の新型モデル(輸入車を含む)を対象に地球温暖化係数(GWP)が150以下の冷媒を新車のカーエアコンに使用することを義務付けている。これに伴いR134aに替わる冷媒として、自動車業界では国際的に米国のハネウェルとデュポンが共同開発した「R1234yf」を冷媒として使用することで合意しており、独自動車工業会(VDA)も「R1234yf」の採用を支持している。

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ただし、中国当局の規制強化により「R1234yf」の生産を独占するハネウェルとデュポンの中国工場の操業開始が遅れるなどの影響から、「R1234yf」の生産が需要に追い付いておらず、EUの欧州委員会は「R1234yf」の導入を2013年1月以降に延期した経緯がある。

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R134aはオゾン層の破壊作用が小さいという利点がある一方で、二酸化炭素(CO2)を大幅に上回る温暖化作用があり、京都議定書の規制対象になっている。

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ドイツ環境支援協会(DUH)は「R1234yf」の燃焼性や毒性を指摘し、二酸化炭素(CO2)を冷媒にした「R 744」を新冷媒として採用することを求めている。しかし、「R 744」を利用するためには1台当たり200ユーロのコスト負担が生じるとされており、自動車メーカーにとってはコスト面で不利になる。

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