ドイツのアンゲラ・メルケル首相は5月27~28日にベルリンで開催された政府主催のエレクトロモビリティーに関する国際会議で、2020年までに電気自動車の普及台数を100万台とする目標を堅持すると声明した。また、欧州連合(EU)の排ガス規制案に関する交渉では自動車業界を支援する意向を示した。
\独日刊紙『フランクフルターアルゲマイネ(FAZ)』によると、ドイツにおける電気自動車の普及台数は約8,500台にとどまっている。メディア報道によると、メルケル首相は、100万台を達成する目標は野心的ではあるものの、達成できるチャンスは十分にある、との見解を示している。ただし、電気自動車に対する購入補助金は導入しない姿勢を堅持し、購入補助金を導入しても電気自動車の販売は一時的に増えるのみで、大きな飛躍をもたらすものではない、とした。
\ドイツ政府がエレクトロモビリティーの普及に向けて2010年5月に発足させた政産学連携プロジェクト「国家プラットフォーム・エレクトロモビリティー(NPE)」の代表者であるヘニング・カーガーマン氏は『FAZ』紙に対し、二次電池の価格が下がり、ガソリンの価格が上昇し、電力料金が安定的に推移する、といった条件が整えば、2020年までに普及台数で100万台を達成する目標は可能であると言及した。同氏によると、ドイツメーカーは2014年末までに電気自動車を16モデル市場投入する計画であるという。
\ \■ EU排ガス規制案の交渉で自動車業界を支援
\ \欧州議会環境委員会は先ごろ、欧州連合(EU)域内で販売される新車を対象とする2020年と25年までの二酸化炭素(CO2)排出量の削減目標を定めた規制案を承認した。これによると、各メーカーは20年までに乗用車のCO2排出量を走行1キロメートル当たり95グラム、25年までに68-78グラム以下に削減しなければならない。しかし、ドイツの自動車業界は走行1キロメートル当たりのCO2排出量が95グラムを下回る新たな規制案を提案するのは時期尚早であるうえ、大型車の多いドイツの高級車メーカーに不利になると指摘。CO2排出量が少ない低公害車を優遇する「スーパークレジット」の乗数を引き上げることなどを求めている。
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