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2014/8/29

企業情報 - 部品メーカー

独自動車部品メーカー、ロシア・ウクライナ情勢に懸念

この記事の要約

ウクライナ情勢をめぐる欧米諸国とロシアの緊張状態がドイツの自動車部品メーカーにも影響を及ぼし始めているもようだ。独業界紙『オートモビルボッヘ』が複数の自動車部品メーカーにインタビューしたところによると、今後の景気悪化を懸 […]

ウクライナ情勢をめぐる欧米諸国とロシアの緊張状態がドイツの自動車部品メーカーにも影響を及ぼし始めているもようだ。独業界紙『オートモビルボッヘ』が複数の自動車部品メーカーにインタビューしたところによると、今後の景気悪化を懸念する声や、すでに業績に影響が出ているとする企業もあるという。

独最大手ボッシュの広報担当者は同紙の問い合わせに対し、「懸念を持って現地の状況と今後の成り行きを見守っている。政治の影響により、今後数カ月以内に景気の先行きは暗くなり、需要後退も見込まれる」とコメントする一方、「当社では長期的にはロシア市場の成長を期待している」との見解を示している。また、変速機などを製造するZFフリードリヒスハーフェンは、ルーブル下落のリスクを懸念するとともに、年内の状況改善は期待できないとの見通しを示した。

シートアジャスターやドア施錠システムなどを生産するブローゼの広報担当者は、現在の政治的な問題がロシア事業に深刻な打撃を与えているとコメント。ロシアのトリヤッチにある現地工場の増強を計画していたが当初の計画通りに実施するかは不明との見解を示している。

■ 独中堅企業、事業好調も先行きに不透明感

大手会計事務所のアーンスト&ヤング(E&Y)がドイツの中堅企業約700社を対象に今年下半期に実施したバロメーター調査では、大部分が現状に満足している一方、今後の先行きに懸念を示す企業も多いことが分かった。

下半期に実施した最新調査では、現在のビジネス状況に「満足している」と回答した企業が全体の56%、「どちらかというと肯定的」と回答した企業も32%であった一方、ウクライナとロシアの政治問題が事業にマイナスの影響を及ぼしていると回答した企業は、製造分野で全体の22%、商業分野では19%に上った。サービス業では9%と影響が比較的小さい様子がうかがえる。

E&Yのパートナーであるイングリッシュ氏はロシア・ウクライナ情勢について、「今後の展開を明確に予想することは誰にもできない。戦闘の拡大や制裁・対抗措置の強化は破壊的な影響を及ぼす」と述べ、「ウクライナ情勢の影響は上半期よりも第3四半期により強く現れる。新規投資も状況が明らかになるまで凍結されるだろう」との見解を示す。ただ、同氏はその一方で、堅調な国内景気や他の国外市場での成長はウクライナ危機の悪影響を補う以上の役割を果たしていると指摘。ドイツの中堅企業は特にインドネシアや韓国、中国で売り上げを伸ばしているほか、ポーランド、オーストリア、スイスなどの近隣諸国における事業も好調に推移していると説明している。

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