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2014/9/5

一般・技術・その他 (旧)

ガリレオ実用衛星の打ち上げ失敗、予定の軌道に乗らず

この記事の要約

欧州連合(EU)が進めている欧州独自の衛星利用測位システム「ガリレオ」計画で、8月22日に打ち上げられた衛星2基が予定の軌道から外れていたことが明らかになった。欧州委員会は25日、欧州宇宙機関(ESA)と打ち上げを請け負 […]

欧州連合(EU)が進めている欧州独自の衛星利用測位システム「ガリレオ」計画で、8月22日に打ち上げられた衛星2基が予定の軌道から外れていたことが明らかになった。欧州委員会は25日、欧州宇宙機関(ESA)と打ち上げを請け負った仏アリアンスペースに対して、不具合の原因について詳細情報の提供を求めると共に、調査の進捗を監視するため独自に作業部会を設置したことを明らかにした。アリアンスペースはESAと欧州委の担当者を含む専門家8人で構成する調査委員会を立ち上げ、9月8日までに第1次調査報告をまとめる方針を示している。

ガリレオは米国の全地球測位システム(GPS)に対抗してEUが開発を進めている民生用の測位システムで、最終的に衛星30基と3カ所の地上管理センターなどで構成される。EUは2020年までの本格運用を目指しており、11年と12年に打ち上げられた計4基の実証衛星はすでに測位信号の送信を開始している。

22日の打ち上げは、すべての機能を装備した実用衛星(FOC=Full Operational Capability)の初めての打ち上げだった。ガリレオ5号機と6号機を積んだロシアのソユーズは、悪天候のため1日遅れで仏領ギアナのクールー宇宙基地から打ち上げられ、アリアンスペースは当初、打ち上げは成功したと発表していた。しかし同社は23日、衛星2基は予定より約3,000メートル低い軌道を楕円状に周回していることを明らかにした。初期段階の分析によると、ソユーズ上段ステージ(フレガート)に問題が生じた可能性が高いが、原因は特定されていない。

ESAによると、衛星2基は現在のところ安定した軌道上を周回しており、独ダルムシュタットのコントロールセンターから安全に制御されているという。今後は不具合の原因究明と共に、軌道から外れた衛星を測位ミッションに復帰させることが可能かどうかが焦点となる。衛星を正常な軌道に戻すには推進剤を使うため、燃料不足で衛星の寿命が短くなる。一方、軌道を修正せずにこのまま測位に使用した場合、正常な測位信号を送信できるかは未知数で、専門家の間では悲観的な見方が広がっている。

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