エレクトロモビリティーの普及に向けて2010年5月に発足したドイツの政産学連携プロジェクト「国家プラットフォーム・エレクトロモビリティー(NPE)」は2日、第4回目の報告書をドイツ政府に提出した。NPEは2010~2014年を「市場準備期」と位置付けており、現状を報告するとともに、2015~2017年の「市場成長期」に向けて今後の課題や政策への提言をまとめている。
ドイツ政府は、ドイツがエレクトロモビリティー分野において2020年までに主導的な地位と市場を確保することを目指しており、ドイツにおけるエレクトロモビリティーの普及台数では2020年までに100万台を目標に掲げている。
今回の報告書では、ドイツ政府が「市場準備期」において研究開発の支援や規格・標準化、人材育成に重点を置いた政策を実施してきた成果を評価するとともに、エレクトロモビリティーの世界市場で主導的な地位を確保するうえでドイツの自動車メーカーは良い方向に進んでいるとの見解を示した。ドイツメーカーが販売するエレクトロモビリティーは今年末までに17モデルとなり、2015年には12モデルの発売が予定されている。
その一方で、エレクトロモビリティーの普及台数は現在2万4,000台と当初計画の10万台(2014年)に届いておらず、公共の充電インフラは標準的な充電設備が4,800基(2,400カ所)、急速充電設備は100基であることは、国際比較において中間位にとどまると指摘。補助金や優遇措置による助成策を強化しなければ2020年の普及台数は約50万台にとどまり、100万台の目標達成は困難との見方を示している。
■ 法人向けの優遇措置などを進言
NPEは今後の政策への提言として、事業者を対象にした減価償却による所得税控除(AfA)などを進言している。AfAに関しては、エレクトロモビリティーの調達コストの50%を1年目に減価償却できる措置を提案しており、これによる税収減は年約2億ユーロになると試算している。
また、2020年に100万台の普及台数を達成するためには、公共の充電インフラの整備に5億5,000万ユーロを同年までに投資する必要があると試算しており、民間と公的機関が資金を共同負担することを勧告している。
さらに、研究開発支援をさらに強化し、助成規模を「市場成長期」の終わりまで年3億6,000万ユーロに引き上げることを提案している。