ドイツのユーリッヒ研究所のエネルギー・気候研究室(IEK‐3)のヴァイスベッカー氏とシュルツ氏がこのほど、アーヘンの起業計画コンテスト(AC2)で優勝した。両氏は燃料電池の部品であるバイポーラプレートの新技術を使って起業するコンセプトで応募した。創業資金の一部として優勝者には賞金1万ユーロが授与される。両氏は年内の会社設立を計画しており、現在は主に資金確保に奔走しているという。
燃料電池は、水素と酸素を反応させて電気と水を発生させる仕組み。反応ガスの流路を持つ導電板(バイポーラプレート)を2枚合わせて燃料電池セルをつくり、このセルを積層した構造体がスタックとなる。
両氏は、金属製のバイポーラプレートを炭素材料でコーティングし、腐食を防ぐ技術を開発した。グラファイト(黒鉛)製のバイポーラプレートと比べ大幅に軽く、劣化による耐久性は黒鉛製と同程度を確保できた。
両氏が開発したバイポーラプレートの市場投入により、燃料電池セルの重量を70%軽量化できるという。特に数百個のセルを積層する必要のある大容量の燃料電池では軽量化できることが大きな利点となる。