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2015/10/23

総合 – 自動車産業ニュース

ACEA、ディーゼル車の排ガス試験厳格化をけん制・17年秋からの実走行試験には理解

この記事の要約

欧州自動車工業会(ACEA)は12日、欧州連合(EU)が独フォルクスワーゲン(VW)による規制逃れを受けて排ガス試験の厳格化を検討している問題で、技術面やコスト面を考慮して制度変更の時期や条件を決定するよう求める声明を発 […]

欧州自動車工業会(ACEA)は12日、欧州連合(EU)が独フォルクスワーゲン(VW)による規制逃れを受けて排ガス試験の厳格化を検討している問題で、技術面やコスト面を考慮して制度変更の時期や条件を決定するよう求める声明を発表した。「現実的な時間枠や条件」を設けないまま排ガス試験が過度に厳格化された場合、メーカー側は適切に対応できず、ディーゼル車を販売できない事態に陥りかねないと警告している。

欧州連合(EU)は2014年9月に施行された排ガス規制「ユーロ6」で、ディーゼル車の窒素酸化物(NOx)と粒子状物質(PM)の大幅な削減をメーカーに義務づけている。NOxなどの排出量がテスト時と実際の走行時で大きく異なる点は早くから指摘されており、17年9月に施行される第2段階の規制「ユーロ6フェーズ2」では従来からの室内での排ガス試験に加え、「RDE(Real Driving Emissions)」と呼ばれる実走行試験の導入が検討されている。

完成車メーカーはあらゆる環境や条件下で基準値を満たさなければならず、技術的に対応が困難として規制の見直しを求める声が出るなか、市場では実施が延期されるとの見方も出ていた。しかし、VWによる排ガス試験の不正問題を受け、欧州委員会は先月末、16年初頭から実走行試験を開始する方針を打ち出し、細目について加盟国と協議を進めている。

ACEAは当初の計画通り、新型車については17年秋から実走行試験を実施することに理解を示したうえで、「すべての新車にRDE規制を適用するには技術面や経済面の現状を考慮して移行期間を設け、各メーカーが計画的に対応できるようにすることが重要だ」と指摘。適切な移行期間や条件がないまま規制が厳格化された場合、ディーゼル車の一部モデルは消費者の手が届かない価格となってメーカーは販売停止を余儀なくされ、消費者の選択肢が狭められて雇用にも影響が出ると警告。「将来の二酸化炭素(CO2)削減目標を達成するための重要な柱の1つであるディーゼル車の役割を損なう」ことがないよう、現実的な対応を求めた。

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