独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)がディーゼル車に不正ソフトウエアを搭載していた問題の影響で、欧州の自動車部品メーカーの一部では排ガスから窒素酸化物(NOx)を取り除く選択触媒還元(SCR)システムの需要が高まるとの見方が出ているもようだ。独業界紙『オートモビルボッヘ』(19日付)が報じた。
同紙によると、仏自動車部品大手プラスチック・オムニウムは、同社のSCRシステムの売上高が2019年に5億ユーロとなり、世界市場シェアは30%に拡大すると見込んでいる。同社の現在のSCRの売上高は約3億4,000万ユーロで、世界市場シェアは約20%を保持している。製品は、VWグループ傘下のブランドであるVW、アウディ、ポルシェにも供給している。
仏フォルシアもSCRシステムの需要が高まると予想している。同社のSCRの売上高は明らかにしていないが、2014年はディーゼル乗用車向けの製品で6億7,000万ユーロを売り上げた。このうち1億6,000万ユーロはVWグループ向けであったという。
これに対し、独排気系部品大手のボイゼンは、SCRシステムの需要に大きな変化はないと見ている。同社の顧客であるドイツの高級車メーカーはすでにSCRシステムを採用しているためだ。『オートモビルボッヘ』紙によると、ボイゼンのロルフ・ガイゼル社長は、VWの不正問題を受けてディーゼル車の市場シェアが縮小する可能性もあるが、SCRシステムの需要が増えることはない一方で、同システムの販売が急減し、売り上げが落ち込む心配もないとみている、との見解を示している。