印鉄鋼大手のタタ・スチールは20日、欧州の長尺製品事業を見直し、鋼板の生産を中止する計画を発表した。安価な輸入品の増加とポンド高、高い電気料金により欧州製品の価格競争力が低下したため。今後は強度に優れ、軽量な付加価値の高い製品に注力する方針を示している。
今回の措置により、従業員約1,200人が雇用を失う。英スカンソープの拠点で約900人、スコットランドで約270人、その他の拠点でも小規模人数が影響を受ける。
英スカンソープ、スコットランドのダルゼルおよびクライドブリッジの3拠点では、厚板圧延機の操業を停止する。また、スカンソープのコークス炉は2基のうち1基の操業を停止する。
タタ・スチールによると、欧州ではこの2年間で鋼板の輸入品が2倍に増えた。中国製品は4倍に増えており、鋼板の価格は急速に下落した。ポンド高により欧州製品の価格競争力が低下したことも輸入品にとって追い風となった。