独高級車大手のBMWは3Dプリンタ技術をさまざまな分野に投入している。当初は試作部品やコンセプトカー、ショーカー向け部品の生産が中心だったが、現在は小規模の量産部品や、組み立て作業の身体的負担を軽減するための補助具にも活用している。
例えば、電気駆動車(エレクトロモビリティー)を販売する新ブランド「BMW i」のモデルでは電気駆動車の先行モデルがないため、プロトタイプモデル用に3Dプリンタを使って部品の大部分を製造した。
また、クラシックカーでは、部品を3Dスキャンしてデジタルデータ化する「リバースエンジニアリング」により、現在は生産していない交換部品を3Dプリンタで製造している。
2014年半ばに生産現場に導入した3Dプリンタで製作した補助具は、作業員の手の形や身体の大きさに合わせたオーダーメード品であるという。
ドイツツーリングカー選手権(DTM)用のレース車には3Dプリンタで製造したアルミニウム合金製のウォーターポンプを小規模生産し搭載している。このウォーターポンプは今年4月に累計生産が500個に達した。
BMWは研究イノベーションセンター(FIZ)のラピッド・テクノロジーズ・センターでは1991年に3Dプリンタを使った最初のプロトタイプ部品の製造を開始した。現在は、プロトタイプに関する依頼が年約2万5,000件あり、グループ内の内部顧客向けに年10万個の部品を納品している。
なお、米シリコンバレーのマウンテンビューにあるBMWの技術拠点では、米ベンチャー企業Carbon3Dが開発した最新の造形技術「CLIPテクノロジー」を試験導入している。CLIPテクノロジーでは従来の3Dプリンタに比べ造形にかかる時間を大幅に高速化することができる。