独フォルクスワーゲン(VW)傘下の高級車メーカー、アウディのシュテファン・クニルシュ開発担当取締役は独業界紙『オートモビルボッヘ』(3月21日付)に掲載されたインタビュー記事の中で、VWグループでは燃料電池による駆動システムの開発本部が2016年1月からアウディに配置されたことを明らかにした。また、燃料電池車は価格の高さと水素供給インフラの不足が普及において大きなハードルとなっている、との見解を示した。
クニルシュ取締役は同紙に対し、「2020年まではインフラ整備も十分に進まない見通しであるうえ、燃料電池車の走行を二酸化炭素(CO2)ニュートラルとするためには、再生可能エネルギー由来の水素を生成する必要がある」と述べ、アウディがカーボン・ニュートラルの水素燃料の開発に取り組んでいることを明らかにした。
アウディは1月に米国で開催されたデトロイトモーターショーで燃料電池を搭載したコンセプトカー「hトロン・クワトロコンセプト」を発表した。クニルシュ取締役によると、「A7 hトロン」を使って数年前から実証試験を実施しており好結果が得られているという。
■ プラグインハイブリッド車、「A3」、「Q7」から発売
プラグインハイブリッド車については、「A3」、「Q7」から発売する計画があり、その他のモデルも続く見通しを示した。ただ、「プラグインハイブリッド車がどのくらい長くラインアップに残るかは現時点では分からない」と述べ、代替燃料車の今後の展開は、法的な条件や燃料価格、税優遇措置、購入価格、インフラなど様々な要素にかかっている、と言及した。
アウディは電気自動車については、2018年に1回のフル充電による航続距離が500キロメートルを超えるモデルを市場投入する計画を発表している。『オートモビルボッヘ』紙によると、同モデルはCセグメントの電気自動車(C-BEV)のSUV「Q6 eトロン」となる見通し。クニルシュ取締役によると、このC-BEVモデルはケーブルを必要としない非接触式の充電が可能で、変換効率は90%を超えるという。
クニルシュ取締役はウルリッヒ・ハーケンベルク氏の後任として2016年1月からアウディの開発担当取締役に就いている。