BMW、車両構造で工場を区別・生産効率向上のメリット=BMW生産担当取締役

BMWのオリバー・ツィプセ生産担当取締役は、4月4日発行の独業界紙『オートモビルボッヘ』に掲載されたインタビュー記事の中で、今後の生産戦略や2019年に生産を開始する予定のメキシコ工場などについて語った。将来は工場の生産を前輪駆動あるいは後輪駆動の車両構造別に分ける計画であり、3シリーズの世代交代でこのような生産構造の転換は完了する見通しを示した。また、既存工場の生産台数が約40万台を超えた時が新工場の建設を検討する時期であるとの目安も明らかにした。

同取締役によると、BMWの生産システムは常に発展を続けており、戦略的な重点や目標も常に適応させているという。重要な戦略的要素としては、世界的にバランスのとれた付加価値の分散を目指しているとし、その際には、◇市場の近くから供給◇地域的な要求を満たすこと◇関税による不利の回避――の3点を重視しており、一つの市場で長期的に成功するためにはローカルプレイヤーである必要があると確信している、と語った。

現在は中国拠点の生産能力を拡大しており、現地で生産するモデルを増やす計画。また、メキシコ工場は2019年に生産を開始する予定。

前輪駆動あるいは後輪駆動の車両構造別の生産は、生産の複雑さが低減され、生産効率が向上する利点があるという。1つのラインですべてのモデルを生産できる生産体制の構築を目指しており、2つの車両構造を同時に生産しようとすれば複雑さが増し物流も煩雑になる、と説明した。

ツィプセ取締役によると、3シリーズの次世代モデルでこのような生産構造の転換は完了する予定。現在、「3シリーズ」を生産している南アフリカ工場では次世代モデルを生産せず、「X3」を生産するという。「X3」は米スタンバーグ工場でも生産する。

■ メキシコ工場、自由貿易協定が魅力

同取締役によると、スタンバーグ工場では工場を拡張せずに、労働時間モデルの変更やサイクル時間の短縮などで生産能力を約10%引き上げた。生産委託はマグナシュタイヤーのグラーツ工場(オーストリア)やオランダのネッドカーによるMINIの生産ですでに実施しているが、スタンバーグ工場では生産提携は計画していないと明らかにした。

ツィプセ取締役は、約40万台を超えると生産規模による大きなメリットが得られなくなると説明し、生産が40万台を超える場合は新工場の建設を真剣に検討する価値があるとの考えを示した。メキシコ工場については、米工場と異なるコストファクターを得ることができる利点があるが、それよりも、メキシコが世界の多くの地域と自由貿易協定を締結していることを重視している、と語った。

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