独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)およびVWグループ傘下の高級車大手アウディの監査役会は10月2日、ルーパルト・シュタートラー氏をVW取締役およびアウディ社長から解任し、同氏との雇用契約も終了することでシュタートラー氏と合意したと発表した。同氏は直ちにVWグループを退職した。
ドイツのミュンヘン検察当局は6月、VWグループのディーゼル車の排ガス不正疑惑に関する捜査で、シュタートラー氏の身柄を確保した。証拠隠滅の恐れがあるため、と説明しており、現在も同氏の勾留は続いている。
VWグループは今回の決定について、勾留が長期化し、職務を遂行できない状態にあるとし、契約解消により、シュタートラー氏は弁護に集中する意向であると説明している。
シュタートラー氏は1990年にアウディに入社。これまでVWグループに勤務してきた。2003年1月から取締役となり、2007年1月からは11年以上に渡り、アウディの社長を務めてきた。アウディ社長と並行して、2010年1月からはVWの取締役にも就いていた。
シュタートラー氏の勾留を受け、暫定社長に就任したアウディのアブラハム・ショット取締役は今回の発表に際し、「11年以上に渡るシュタートラー氏の社長在任中に、アウディの売上高と販売台数は約2倍に拡大した。モデルラインアップの拡充やグローバル化、電動化を推し進めた」と述べ、同氏の功績を称えている。
メディア報道では、シュタートラー氏の後任として、7月にBMWからVWグループの取締役への転職が発表されたマークス・デュースマン氏が憶測されている。ただ、競合他社に転職する際には一定期間を置くとする競業避止義務条項などを解決する必要がある。